遠赤外線放射素材の布団が脳波,自律神経に及ぼす影響について

竹内早耶香(びわこ学院大学) 豊田一成((社)感覚刺激と脳研究協会)

※PDF版は以下のリンクよりお読みいただけます。
■【PDF版】遠赤外線放射素材の布団が脳波,自律神経に及ぼす影響について ・竹内早耶香(びわこ学院大学)・豊田一成((社)感覚刺激と脳研究協会) 2017/10/16

1.はじめに

メディアなどでの試合で,プロスポーツ選手またはアスリートが遠赤外線用品を装着している様子を目にすることがある.遠赤外線放射素材用品はスポーツ・パフォーマンスが向上されるだけでなく,健康上の改善にも効果が表れるとも言われている.
遠赤外線放射素材と運動パフォーマンスの関連について,豊田ら(2006)は人間の全身的運動に接近したところで実験を組み検証を行っている.具体的には,400m走を行い疲労傾向にどのように作用するのかを分析したところ,素材貼付による疲労軽減効果がみられることが明らかとなった.
また,堀井ら(2006)は,自転車タイプのトレーニング機器を用いて無酸素パワーを測定し,遠赤外線放射素材が身体運動能力に与える影響を検証した結果,血管拡張反応が生じて血流量を増大させるため,無酸素パワーテストの各測定項目で向上がみられると示唆している.
このように,遠赤外線放射素材は運動パフォーマンスにも影響を及ぼし,もとより,健康を含め,人体への効果が期待されている.

2.目的

そこで,本研究は遠赤外線放射素材の布団が健康に与える影響について明らかにすることを目的とした.具体的には,健康を示す指標として,脳波と自律神経を用い,遠赤外線放射素材の布団とそうでない布団の値を比較した.

3.方法

1) 日時:2016年10月13日(木)
     2016年10月16日(日)
2) 場所:アイアイリゾート
3) 被験者:21名 (男性)
4) 測定項目:脳波,自律神経,
5) 実験刺激:素材の入った布団(素材有)と素材の入っていない布団(素材無)
6) 手続き:2つの部屋を用意し,一方の部屋に素材有の布団,もう一方の部屋に素材無の布団を敷いた.被験者には,どちらの部屋に素材の入った布団が敷かれているかわからない状態にした.具体的な手続きについては以下の通りである.
① 布団に入り,5分間安静状態
② 脳波測定と自律神経測定を行う(3分)
③ 30分間休憩の後,実験刺激を変えて測定.1セット目,Aの布団に入った被験者は2セット目にBの布団に入り,1セット目,Bの部屋に入った被験者は2セット目,Aの部屋に入る(ダブルブラインド方式).

4.結果と考察

1) 脳波測定の結果
素材の入った布団(素材有)と素材の入っていない布団(素材無)の脳波を比較し,図1に示した.図1より,素材有の方が素材無より脳波の強さの値が高かった.特に,左脳θ波,左脳α波,左脳β波,右脳α波において有意に値が高いことが明らかとなった.ここから,素材有の布団に寝た時の方が脳細胞の活性化がみられるといえよう.
また,右脳に着目してみると,素材有のα波が素材無より有意に高く,β波には素材有と素材無とで有意さが認められないことがわかる.リラックスの指標であるα波において,素材有が素材無の値より有意に高かったことから,右脳においてリラックス効果が認められるといえよう.

図1.素材有と素材無の脳波の強さの比較


2) 自律神経測定の結果
素材の入った布団(素材有)と素材の入っていない布団(素材無)の自律神経測定の結果を心拍数,トータルパワー,副交感神経の項目で比較した(図2~4).
まず,素材有と素材無の心拍数を比較すると,素材有の方が素材無より心拍数が有意に低かった(図2).つまり,素材有の布団の方が落ち着くといえよう.

図2.素材有と素材無の心拍数の比較


次に,トータルパワーを比較した.トータルパワーとは,自律神経の総合活動量,つまり,交感神経と副交感神経の総合力といわれており,値が高いと心身の状態が良いことを示すとされている.図3を見ると,素材有の方が素材無よりトータルパワーが有意に高い.つまり,素材有の方が心身の状態が良くなっているといえよう.
最後に,副交感神経の値を比較した(図4).すると,素材有の方が素材無より副交感神経の値が有意に高かった.つまり,素材有の方が落ち着くといえよう.
心拍数,トータルパワー,副交感神経の項目を比較した結果,素材有の方が素材無より落ち着き,心身の状態が良くなるといえよう.

図3.素材有と素材無のトータルパワーの比較


図4.素材有と素材無の副交感神経の比較

5. まとめ

本研究は遠赤外線放射素材の布団が健康に与える影響について,脳波と自律神経を指標として,明らかにすることを目的とした.
その結果,以下のことが明らかになった.
① 脳波測定の結果,素材有の値の方が素材無より脳波の強さの値が高かった.ここから,素材有の布団に寝た時の方が脳細胞の活性化がみられるといえよう.
② 脳波測定の結果,右脳α波において,素材有の値が素材無の値より有意に高かった.つまり,右脳においてリラックス効果が認められるといえよう.
③ 自律神経測定より,心拍数の項目において素材有の値の方が素材無より有意に低かった.つまり,素材有の布団の方が落ち着くといえよう.
④ 自律神経測定の結果,トータルパワーの項目において素材有の値の方が素材無より有意に高かった.つまり,素材有の方が心身の状態が良くなっているといえよう.
⑤ 自律神経測定の結果,副交感神経の刻目において,素材有の値の方が素材無より有意に高かった.つまり,素材有の方が落ち着くといえよう.
上記より,遠赤外線放射素材の布団に寝ることにより,脳細胞の活性化や,リラックス,落ち着きの効果がみられ,心身の状態が良くなることが明らかとなった.

主要文献

豊田一成,炭谷将史,堀井大輔,池田早耶香(2006)遠赤外線放射素材が無酸素運動におけるPerformanceや疲労に及ぼす効果.びわこ成蹊スポーツ大学研究紀要,第3号.
堀井大輔,池田早耶香,豊田一成(2006)遠赤外線放射素材が無酸素パワーに与える影響.びわこ成蹊スポーツ大学研究紀要,第3号.
森川えみこ,齋藤好史,豊田一成(2006)ネックレスループ形態の遠赤外線放射材料が体温に与える影響.びわこ成蹊スポーツ大学研究紀要,第3号.

付 記

本研究は、(株)アイアイからの委託研究費によって行われた。